Amazon IVS Real-Time Streamingが最大25,000人の同時視聴者をサポートしました!
はじめに
清水です。遅延300ミリ秒未満のライブストリーミングが可能なAmazon Interactive Video Service (Amazon IVS)のReal-Time Streaming機能で、最大25,000人の視聴者をサポートするアップデートがありました。2024/06/27付けでAWS What's Newにポストされています。
IVS Real-Time Streamingの最大同時視聴者数、Service QuotasのStage participants (subscribers)が該当します。これまでは10,000人でした。今回のアップデートでデフォルトの10,000人は変わりませんが、クォータの引き上げリクエストにて25,000人まで拡張可能なことが明記されるようになりました。IVS Real-Time Streamingの最大同時視聴者数の推移やIVS Low-Latecy Streamingとの最大同時視聴者数の比較も交えつつ、本アップデートについて紹介したいと思います。
IVS Real-Time Streamingで最大同時視聴者数がクォータの引き上げで25,000人に!
まずはAWS What's Newのポストでも参照先として示されている、Amazon IVS Real-Time Streaming User GuideのService Quotasのページを確認してみましょう。
以下の通り、Other QuotasのStage participants (subscribers)の値が、Default: 10,000に加え Adjustable: Yes (up to 25,000) と記載されていますね。
今回の最大同時視聴25,000人サポートのアップデート以前についても確認してみましょう。これまでは同時視聴10,000人が最大でした。これはReal-Time Streaming機能としてリリースされたタイミングに設けられた上限です。
Service QuotasとしてもStage participants (subscribers)のDefaultが10,000となっていました。またAdjastableはYesとはなっていますが具体的な数値は公開されていないという状況でした。こちらは(少し表示は崩れていますが)INTERNET ARCHIVE Wayback Machineから確認できます。
引用元: Service Quotas (Real-Time Streaming) - Amazon IVS (INTERNET ARCHIVE Wayback Machine 2024/01/02)
今回のアップデート、デフォルト状態ではこれまでと変わらない最大同時視聴者数10,000人が上限ですが、クォータの引き上げリクエスト(以前は上限緩和申請と言われていました)を行うことで、同時視聴者数25,000人にも対応できることが明示されたわけですね。
なおUser Guide冒頭のWhat is Amazon IVS Real-Time Streaming?のページでも、Accommodate audiences of up to 25,000 viewersと最大視聴者数が25,000人であることが記載されています。(こちらも以前は「up to 10,000 viewers」という表記であったことがINTERNET ARCHIVE Wayback Machineの該当ページから確認できますね。
IVS Real-Time Streamingの最大同時視聴者の推移
今回のアップデートで、デフォルト状態では(これまでと変わらず)最大同時視聴者数10,000人、クォータの引き上げリクエストを行うことで25,000人の最大同時視聴者までサポートされることが明記されたことを確認しました。
またIVS Real-Time Streamingの最大同時視聴者、今回のアップデート以前は10,000人であったということを先ほど述べましたが、これ以前を含めて最大同時視聴者数の推移を確認してみましょう。
この話の前にIVS Real-Time Streamingの起源を振り返っておきます。IVSのStreamig機能、今でこそ"IVS Real-Time Streaming"と"IVS Low-Latency Streaming"にわかれていますが、Real-Time Streamingの前身であるMultiple Hostsリリース時はIVS Video Streamingの一機能という位置づけでした。2023年8月、以下ブログエントリで紹介しているReal-Time Streamingリリース時にMutiple Hostsという呼称から変更されたわけですね。
上記Real-Time Streaming機能リリース時に最大同時視聴者10,000であった、というのは前述の通りです。さて、これ以前のMultiple Hosts時代の最大同時視聴者数を確認しておきます。
意外なことに?このMultiple Hosts機能リリース時、12人が 参加者 の最大数でした。10,000人や25,000人と比べるとだいぶ少ないですよね。
しかしMultiple Hosts機能リリース当時、Service Quotasにはステージ参加者(Stage participants)のPublisherとSubscriberの区別はない状態でした。(そのため、上記の12人についても 同時視聴者 ではなく 参加者 の最大数という表記になります。)
その後、Service Quotasの項目としてPublishersとSubscribersにわかれ、いわゆる最大同時視聴者数に該当するSubscribersのクォータについては1,000となりました。(このタイミングは正確に把握していないのですが、Multiple Hosts機能リリース(2023/03/23)のあと割とすぐだったと記憶しています。INTERNET ARCHIVE Wayback Machineの該当ページ、2023/05/21の時点で、この Stage participants (subscribers)のDefault: 1,000を確認することができます。)
ということで、最大同時視聴者数(Subscriberとしてのステージ参加者)のクォータとしては、1,000から10,000に引き上げられ、さらに25,000に引き上げられた、ということになります。
なおPublisherについては、Multiple Hosts機能リリース時のクォータである12から現在も変わっていません。そしてこちらは現時点でAdjustableはNoということで、クォータの引き上げリクエストも受け付けられないということです。
IVS Low-Latency Streamingとの最大同時視聴者数の比較
最大同時視聴者数が25,000人までサポートされたIVS Real-Time Streamingですが、Amaozn IVS Streamingのもう一つの機能であるLow-Latency Streamingの最大同時視聴者数とも比較してみましょう。
現時点(2024/07/07)でIVS Low-Latency Streamingの最大同時視聴者数、Service QuotasのConcurrent viewsはDefaultで15,000となっています。AdjustableはYesですが、具体的な数値は示されていません。(なお、リージョン内のすべてのChannelをあわせた数となる点に留意しましょう。)
クォータの引き上げリクエストにより最大同時視聴者数10,000人を超えることはできるかとは思いますが、具体的にどのぐらいの最大同時視聴者数まで配信可能なのかはわかりません。ドキュメントに明記された最大同時視聴者数としてはIVS Real-Time Streamingのほうが25,000人で大きくなっている、というのが興味深いですね。
まとめ
ホストから視聴者まで300ミリ秒未満のレイテンシでライブストリーミングを配信可能なAmazon IVS Real-Time Streamingで、25,000人の最大同時視聴者数をサポートしたアップデートについてお届けしました。これまでの最大同時視聴者数であった10,000人から比べると2.5倍に増えています!クォータのデフォルト値としては従来と変わらず10,000であり、25,000人への配信にはクォータの引き上げリクエストが必須となる点には注意しましょう。
IVS Real-Time StreamingはWebRTC技術を利用したライブビデオストリーミングサービスです。(WebRTCを使用していることはAmazon IVS Real-Time Streaming User Guideのページソース内などに記載があります。)HTTP/HLSを利用したIVS Low-Latency Streamingより遅延は小さくなるものの、大規模配信に対応させるようスケールさせるのはHTTP/HLSよりも難易度が高い認識です。そんな中、ドキュメントに明記された同時視聴者数の最大値はLow-Latency StreamingよりもReal-Time Streamingが大きくなったということにびっくりしました。
またReal-Time StreamingではWebRTC技術を使うことからWebブラウザや独自アプリからの配信(Ingest)が前提となりそうですが、OBS StudioのWHIP (WebRTC-HTTP Ingestion Protocol)対応によりStreamig SoftwareからのIngestも可能になっています。
これまでよりも同時視聴者数の最大値が向上したこと、またStreamig SoftwareからのIngestも可能になっていることから、レイテンシをおさえたリアルタイムなライブストリーミングを実施したい場合、よりIVS Real-Time Streamingを候補に選びやすくなっているのかなと思います。